基礎と応用

研究には基礎と応用があると言われる。主として理学部は前者を、工・農・医・薬学部などが後者を担うと思われているが、実際はそんなに単純ではない。では区別がないかというとそんなことはなくて、研究の目的には明確な違いがある。むしろそこが曖昧な研究は、虻蜂取らずになる。

基礎研究の目的は発見である。発見を目的としない研究を基礎研究とは言わない。
一方、応用研究の目的は役に立つことなので、役に立たない研究は、応用研究としては失格である。

手前味噌だが、私たちの研究のうち、「研究内容」ページで紹介した1と2は発見を目的とし、3~5は役に立つことを目的にしている。小さなラボで両方を抱えるのは分不相応だけれど、やりたいのだから仕方がない。

 

さて世の中には、発見もなければ役にも立たない研究がたくさんある。もしかするとほとんどがこのカテゴリーに入ってしまうかもしれない。

しかしそれらの研究にも意味はある。むしろ意味のない研究などない。

実験研究をしたことがある人なら分かるだろうが、ネガティブデータはポジティブデータにたどり着くための重要な礎になる。たくさんの実を結ばなかった研究の上に、少数の実を結ぶ研究が積み上げられる。

賢い戦略は不可欠だが、結局最後は、どれだけ手数を積んだかによって成功の確率が上がる。このことは個人レベルでも、政策レベルでも同じ。